室内環境に関する Q&A
一般の方や関連企業の方などが室内環境に関して抱いているさまざまな疑問に答えることを目的として室内環境Q&Aを作成しましたので、 暫定第1版として公開いたします。いろいろな方にこのQ&Aをご活用いただければと思っております。
 今回のQ&Aでは、室内環境に関してこれまでいろいろな形で、またいろいろな分野に関して質問を受けた項目などを取り上げることにしました。回答は室内環境学会員に書いてもらっておりますが、現状の会員の専門性を考慮にいれると必ずしも網羅できる状況にはなく、とりあえずできるところから開始しております。今後、室内環境学会の活動がさらに広がっていけば、より多くの質問に答えられるようになるものと考えております。「暫定第1版」が表しているように、今回の公開で終わりというわけではなく今後増やしていくとともに、内容の充実も諮りたいと考えております。
 回答ですが、一つの質問に対して複数の室内環境学会員が回答を作成しました。しかし、室内環境に関わる問題は必ずしも正解が一つに定められるものではありません。また今日までに十分には解明できておらず、意見等が異なる課題もあると考えています。Q&Aは社会連携委員会が編集した後に公表しておりますが、まだまだ検討すべき点も残されているかとは思っております。様々なご意見を伺いながら、随時修正を加えていきたいとも考えております。
部屋が汚いとどれくらい寿命が..........
部屋が汚いとどれくらい寿命が縮みますか?
環境汚染による健康リスクについて、寿命の損失という指標を用いた産業技術総合研究所の蒲生さんらの研究報告があります。それによると、ホルムアルデヒドが4.1日、トルエンが0.3日、キシレンが0.075日と報告されています。なお、喫煙による肺がんでは370日の寿命の損失、また受動喫煙による肺がんでは12日となっています。
また近年、公衆衛生や健康影響評価の分野では、障害調整生命年(DALY)という指標を用いて、さまざまな要因による疾病負荷を評価しています。DALYは、生存年数の損失分と、障害を余儀なくされた期間の両方を考慮した健康指標です。さまざまな要因による疾病負荷を総合的に表し、それらを比較することができ、世界保健機関(WHO)の疾病負荷に関する報告書で使用されています。
WHOが2009年に公表した報告書によると、日本を含む西太平洋地域先進国における10万人あたりのDALY値は、不衛生な水で42、大気汚染で113、燃焼による室内空気汚染で1と報告されています。しかしながら、高血圧が624、肥満が411、運動不足が395、喫煙が917、飲酒が755、果物や野菜不足が147と、日常の食生活や運動、生活習慣による健康リスクの方が、環境汚染よりも遙かに大きくなっています。

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