室内環境に関する Q&A
一般の方や関連企業の方などが室内環境に関して抱いているさまざまな疑問に答えることを目的として室内環境Q&Aを作成しましたので、 暫定第1版として公開いたします。いろいろな方にこのQ&Aをご活用いただければと思っております。
 今回のQ&Aでは、室内環境に関してこれまでいろいろな形で、またいろいろな分野に関して質問を受けた項目などを取り上げることにしました。回答は室内環境学会員に書いてもらっておりますが、現状の会員の専門性を考慮にいれると必ずしも網羅できる状況にはなく、とりあえずできるところから開始しております。今後、室内環境学会の活動がさらに広がっていけば、より多くの質問に答えられるようになるものと考えております。「暫定第1版」が表しているように、今回の公開で終わりというわけではなく今後増やしていくとともに、内容の充実も諮りたいと考えております。
 回答ですが、一つの質問に対して複数の室内環境学会員が回答を作成しました。しかし、室内環境に関わる問題は必ずしも正解が一つに定められるものではありません。また今日までに十分には解明できておらず、意見等が異なる課題もあると考えています。Q&Aは社会連携委員会が編集した後に公表しておりますが、まだまだ検討すべき点も残されているかとは思っております。様々なご意見を伺いながら、随時修正を加えていきたいとも考えております。
Q&Aの管轄部署は?
Q&Aの管轄部署及び回答のご担当を教えてください。
回答執筆者(五十音順、敬称略):
秋山幸雄,東 賢一,嵐谷 奎一,池田耕一,川上裕司,小林 智,齋藤育江,佐藤 博,鈴木 博,関根嘉香,野口美由貴,橋本一浩,松木秀明,松村年郎,溝口 忠,山口 一,吉田俊明

管轄部署社会連携委員会(2011〜2012)
委員長:中井里史 
委 員:熊谷一清
     徳村雅弘
     広瀬 恢
     松木秀明
     山村信男

室内環境に関するわかりやすい情報は..........
室内環境に関するわかりやすい情報は、どこで手に入れられるでしょうか?
室内環境学会のホームページには、室内環境に関して情報発信する団体等のリンクがありますので、そちらを参考にして頂ければと思います。また、室内環境学会が発行した書籍「室内環境学概論」(東京電機大学出版局)では、室内環境に関する用語や概念が平易に解説されています。

室内濃度指針値とは何..........
室内濃度指針値とは何ですか?
室内濃度指針値とは、現状で入手可能な科学的知見に基づき、人がその化学物質に示された濃度以下の曝露を一生涯受けたとしても、健康への有害な影響を受けないであろうとの判断により設定された値です。この設定の主旨は、この値までは良いとするものではなく、あくまでも指針値以下が望ましいということです。ただし、各物質に対する人の感受性(指針値以下でも症状を発現)は個人によっても異なることに留意する必要があります。今後、新たな知見やそれらに基づく国際的評価作業の進捗に伴い、将来必要があれば変更され得るものです。
http://www.nihs.go.jp/mhlw/chemical/situnai/hyou.html

室内濃度指針値は、どんなところで..........
室内濃度指針値は、どんなところでどのように使われていますか?
室内濃度指針値は、生活に必須な特殊発生源がない限り、あらゆる室内空間に適用されます。厚生労働省によると、適用範囲は、住居(戸建て、集合住宅)、オフィスビル(事務所、販売店など)、病院・医療機関、学校・教育機関、幼稚園・保育園、養護施設、高齢者ケア施設、宿泊・保養施設、体育施設、図書館、飲食店、劇場、映画館、公衆浴場、役所、地下街、車両、その他となっています。
室内濃度指針値の設定による波及効果は大きく、学校保健安全法、住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)、建築物における衛生的環境の確保に関する法律(ビル管法)の一部に指針値が採用され、それぞれの法的立場から健康保護及び室内汚染防止対策に貢献しています。
具体例として、 学校保健安全法では、児童生徒の健康保護の観点から学校環境衛生基準の中に指針値物質(ホルムアルデヒド、トルエン、キシレン、パラジクロロベンゼン、エチルベンゼン、スチレン)が新たに加えられ、教室内等において継続的なモニタリングを行い、当該建物内の化学物質濃度を基準値以下にすべく維持管理を実施しています。また、品確法では、住宅性能表示制度の一環として、住宅完成時に住宅内空気中の化学物質の実測を行い表示する制度があります。住宅取得者が化学物質濃度の表示を希望した場合、 ホルムアルデヒドは必ず実測(他の物質は選択になる)することになります。この際の完了検査基準として指針値が用いられています。

子どもに対する室内濃度指針値は..........
子どもに対する室内濃度指針値は何故大人より厳しいのですか?
化学物質の人に対する健康影響を未然に防ぐ観点から、現在、食べ物、水、空気等に対して安全基準が設けられています。しかし、人の化学物質に対する感受性は健康な人に比較し、乳幼児、高齢者、病人等の間に大きな開きがあります。クロルピリホスに関しては、動物実験の結果、新生児の脳に形態学的変化を起こすこと、成熟動物と幼若動物ではクロルピリホスへの反応性に明確な違いがあること、クロルピリホスは低い濃度でも新生児に影響を及ぼす可能性があることが認められました。そのため、大人より厳しい値を設定しています。

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