室内環境に関する Q&A
一般の方や関連企業の方などが室内環境に関して抱いているさまざまな疑問に答えることを目的として室内環境Q&Aを作成しましたので、 暫定第1版として公開いたします。いろいろな方にこのQ&Aをご活用いただければと思っております。
 今回のQ&Aでは、室内環境に関してこれまでいろいろな形で、またいろいろな分野に関して質問を受けた項目などを取り上げることにしました。回答は室内環境学会員に書いてもらっておりますが、現状の会員の専門性を考慮にいれると必ずしも網羅できる状況にはなく、とりあえずできるところから開始しております。今後、室内環境学会の活動がさらに広がっていけば、より多くの質問に答えられるようになるものと考えております。「暫定第1版」が表しているように、今回の公開で終わりというわけではなく今後増やしていくとともに、内容の充実も諮りたいと考えております。
 回答ですが、一つの質問に対して複数の室内環境学会員が回答を作成しました。しかし、室内環境に関わる問題は必ずしも正解が一つに定められるものではありません。また今日までに十分には解明できておらず、意見等が異なる課題もあると考えています。Q&Aは社会連携委員会が編集した後に公表しておりますが、まだまだ検討すべき点も残されているかとは思っております。様々なご意見を伺いながら、随時修正を加えていきたいとも考えております。
室内にダニはどのくらい..........
室内にダニはどのくらいいますか?
室内塵から発見されたダニは世界で約150種であり、日本では約110種が確認されています。室内のダニの優占種はチリダニ科のダニで、室内のダニの70%以上を占めています。また、そのチリダニの90%以上をヒョウダニ属が占め、その99%以上をヤケヤヒョウヒダニとコナヒョウヒダニが占めています。ダニの繁殖条件は、1.高温多湿の環境があること(温度20〜30度、湿度60〜80%)、2.エサ(ハウスダスト)があること、3.布団やじゅうたんなど、潜れる場所があることなどです。
そのため、室内環境によってもダニの数は大きく異なってきますが、1m2当たりの平均で、畳では65匹、じゅうたんでは約3000匹、板の間では約50匹、布団では110匹といった調査報告もあります。ごく一般的な住宅の6畳の部屋に20gの塵埃があるとすれば、大凡2,000〜6,000匹のダニがいると推察されます。また数年使用した敷き布団内部では、6万匹〜70万匹との報告もあります。
室内塵性ダニ類を増やさないためには、こまめな掃除が大切ですが、過剰に観葉植物を置かないことや、湿度が70%を超えないよう除湿することも大切です。

ダニアレルギーの予防法は..........
ダニアレルギーの予防法はなんですか?
アレルゲンとなる室内塵性ダニ類(House dust mite)を増やさないことに尽きます。またダニアレルゲン・ダニそのものを減らすには、@掃除機で吸い取る、A水洗いする、B封じ込める、C取りかえるなどがあります。
具体的には、
@掃除機で吸い取る:室内の床を少なくとも週に1〜2回はていねいに、1m2あたり20〜30秒を目安に掃除機をかけてください。寝具については、1週間に1回程度、使用している寝具類の表と裏の両面に掃除機がけをしてください。
A 水洗いをする: 布団は1〜2年に1回程度丸洗いすると効果的です。季節的に使用するタオルケットや毛布は使用前に丸洗いするとダニアレルゲンの70%~90%は除去できます。シーツ類は1週間に1回程度洗濯してください。
B封じ込める: 布団や枕のカバーに高密度織物を使用するとダニアレルゲンをある程度封じ込めることができます。ただし、その場合でもふとん干しやカバーの丸洗いは必要となります。
C取りかえる: ダニアレルゲンが高濃度の場合は、掃除や洗濯を行っても思ったほど減らないことがあります。場合によれば買い替えを考えた方がよいかもしれません。

布団丸洗いでダニ抗原はどのくらい..........
布団丸洗いでダニ抗原はどのくらい減りますか?
丸洗いの条件などでも異なりますが、75〜95%のダニアレルゲンは除去されます。ダニアレルギー疾患の主要因であるダニ由来の糞がほとんど除去されますので、ダニアレルギー予防にはかなりの効果があると考えられます。さらに、洗濯した布団を乾かした後、掃除機で表面を吸い取ることで残ったダニアレルゲンを更に低減させることが可能です。

空気感染症とはなん.........
空気感染症とはなんですか?
唾液、痰(たん)、鼻水などの中に含まれる細菌やウイルスが咳やクシャミとして飛び散ると、その微小な飛沫が蒸発して空気中で小さい粒子(飛沫核)となり長い時間漂います。この粒子を吸い込むことにより感染が起きる場合を、空気感染あるいは飛沫感染といいます。また広い意味で、病原体を含む嘔吐物が乾燥して塵に付着して舞い上がり、口や鼻から入って感染を起こす塵埃感染も空気感染に含めることがあります。
空気感染を主な感染経路とする病原体には、麻疹(ウイルス)、水痘(ウイルス)、結核(細菌)が挙げられます。インフルエンザウイルスなども空気感染するといわれています。また、塵埃感染には、ノロウイルスの例が挙げられます。

中国からの黄砂が部屋に入ると健康に.........
中国からの黄砂が部屋に入ると健康に悪いですか?
黄砂現象は中国内陸部の砂漠地帯で舞い上がった砂が、季節風によって輸送される自然現象です。日本では日本海側でよく見られますが、黄砂の量や風向きによって日本各地で観測されることがあります。黄砂の主成分はアルミニウム、ケイ素、酸素ですが、砂漠土壌では塩類集積効果によってカルシウムやマグネシウムなどが濃縮されることがあります。このように、黄砂粒子自体には有害な物質は含まれていないため、黄砂を吸入することによって重大な健康被害を生じることはないでしょう。しかし、中国からの飛散してくる過程の中で黄砂粒子に有害な化学成分が付着している可能性があります。また、アレルギー反応を増悪する可能性も指摘されており、注意が必要です。

<< 前ページ  次ページ >>全 47件
CGI-design