カビ指数・ダニアレルゲン調査
設備機器分科会
【目的】 カビ発育環境とダニ繁殖環境の関係について調べる。夏期の収納布団を対象に、布団収納状況がカビ発育可能であった場合に、その布団でダニが繁殖したかを調査。
【方法】 調査時期:2000年の夏期。調査項目:カビ指数とダニ糞アレルゲン濃度。
カビ指数調査:カビセンサー中に封じ込まれている胞子の発育状態からカビ発育環境を定量的に測定。調査期間は8週間。北側居室の床面(住宅内では湿気が多くカビ指数が高くなりやすい箇所)、押入、収納布団(調査押入に収納している冬用の掛け布団)で調査。
ダニ糞アレルゲン(Der1)濃度調査:カビ指数測定と同じ布団を用いて、布団表面の塵に含まれるチリダニ糞由来のダニアレルゲン濃度をELISA法により測定。調査時期は、カビ指数調査開始時と終了時の2回。濃度の変化から、布団表面でのダニ繁殖状況を調査。
【結果および考察】 表1に、住宅のカビ指数と収納布団のダニアレルゲン濃度変化を示す。カビ指数が検出された箇所とダニアレルゲン濃度が増加した箇所は灰色に塗った。
北側居室の床面でカビ指数4以上の住宅(No.3、7、8、10、16)は、押入も収納布団もカビ指数が検出され、夏期に住宅全体の湿気が多く、カビの発育できる環境を保っていると判断された。このような住宅では、収納布団のダニアレルゲン濃度が増加した。
北側居室でカビ指数3未満の住宅では、収納布団でカビ指数が検出されず、ダニアレルゲン濃度は低下した。ダニが繁殖できない環境ではダニアレルゲンが自然減衰したと思われる。住宅は湿気の少ない環境(北側居室の床面でカビ指数3未満)に保つことが望ましい。カビ指数調査からカビとダニの両方の汚染可能性が推定できる。
住宅No.
|
カビ指数
|
ダニアレルゲン濃度(μg/g dust)
|
北側居室
|
押入
|
収納布団
|
開始時
|
終了時
|
濃度変化
|
1
|
<0.9(*1)
|
<0.9
|
0.9
|
1.5
|
0.4
|
-1.1(*2)
|
2
|
<0.9
|
<0.9
|
0.9
|
11.7
|
0.2
|
-11.5
|
3
|
4.5
|
2.5
|
3.2
|
21.6
|
40.9
|
19.3
|
4
|
2.0
|
<0.9
|
0.9
|
32.0
|
9.4
|
-22.6
|
5
|
2.6
|
<0.9
|
0.9
|
75.8
|
58.4
|
-17.4
|
6
|
<0.9
|
<0.9
|
0.9
|
5.8
|
4.2
|
-1.6
|
7
|
4.5
|
3.4
|
4.6
|
21.1
|
31.5
|
10.4
|
8
|
4.2
|
4.2
|
1.7
|
5.9
|
19.5
|
13.6
|
9
|
<0.9
|
<0.9
|
0.9
|
4.4
|
1.3
|
-3.1
|
10
|
4.9
|
2.0
|
1.4
|
6.6
|
10.0
|
3.4
|
11
|
2.3
|
2.5
|
0.9
|
16.9
|
16.0
|
-0.9
|
12
|
<0.9
|
<0.9
|
0.9
|
47.5
|
27.0
|
-20.5
|
13
|
2.6
|
<0.9
|
0.9
|
11.9
|
2.0
|
-9.9
|
14
|
2.9
|
<0.9
|
0.9
|
14.4
|
6.4
|
-8.0
|
15
|
<0.9
|
<0.9
|
0.9
|
0.4
|
0.1
|
-0.3
|
16
|
4.5
|
3.4
|
2.2
|
34.1
|
36.6
|
2.5
|
(*1)0.9は、カビ指数検出なし。8週間の調査期間でカビ胞子が発芽しない。
(*2) マイナス値はダニアレルゲン濃度の減少、プラス値は増加を表す。 |
|