室内環境に関する Q&A
一般の方や関連企業の方などが室内環境に関して抱いているさまざまな疑問に答えることを目的として室内環境Q&Aを作成しましたので、 暫定第1版として公開いたします。いろいろな方にこのQ&Aをご活用いただければと思っております。
 今回のQ&Aでは、室内環境に関してこれまでいろいろな形で、またいろいろな分野に関して質問を受けた項目などを取り上げることにしました。回答は室内環境学会員に書いてもらっておりますが、現状の会員の専門性を考慮にいれると必ずしも網羅できる状況にはなく、とりあえずできるところから開始しております。今後、室内環境学会の活動がさらに広がっていけば、より多くの質問に答えられるようになるものと考えております。「暫定第1版」が表しているように、今回の公開で終わりというわけではなく今後増やしていくとともに、内容の充実も諮りたいと考えております。
 回答ですが、一つの質問に対して複数の室内環境学会員が回答を作成しました。しかし、室内環境に関わる問題は必ずしも正解が一つに定められるものではありません。また今日までに十分には解明できておらず、意見等が異なる課題もあると考えています。Q&Aは社会連携委員会が編集した後に公表しておりますが、まだまだ検討すべき点も残されているかとは思っております。様々なご意見を伺いながら、随時修正を加えていきたいとも考えております。
タバコの煙が充満すると室内の空気って..........
タバコの煙が充満すると室内の空気ってどうなるの?
タバコの煙は、喫煙時に喫煙者が吸い込む主流煙、喫煙者が吐き出す呼出煙、タバコの先端から立ち昇る副流煙に分類できます。室内でタバコを吸うと、呼出煙と副流煙が室内に広がっていきます。タバコ煙はエアロゾルと呼ばれる粒子であるとともに、多くの化学物質が含まれていますので、換気が不十分であれば、これらの化学物質の室内の濃度は、当然のことながら上昇し室内の空気質を著しく悪化させます。さらには、浮遊粉じんの濃度では事務所衛生基準規則の粉塵基準(0.15 mg/m3)をしばしば超過する事があります。
 「職場における喫煙対策のためのガイドライン(厚生労働省、平成15年5月)」では、喫煙場所を設定る場合には、煙が非喫煙場所に漏れず、かつ、喫煙場所であっても良好な喫煙環境が保たれることが求められるなどの対策が進んでいます。一般家庭での喫煙は、こまめに窓開け換気を行って新鮮な空気を取り入れるなど、少しでも有害物質を室内から排除するように努めることが重要です。また、タバコ煙濃度を低くしておくことで、喫煙者やその家族の方の服や髪、室内の壁などへのタバコ臭の付着を防ぐことが出来ます。

ペットを飼っていると室内空気は悪化..........
ペットを飼っていると室内空気は悪化するの?
近年、犬、猫、小鳥、熱帯魚、爬虫類など、様々なペットを室内で飼育する家庭が増えています。ペットの飼育は心の安らぎや、子どもたちの情操教育にメリットがあります。しかし、室内でペットを飼育するデメリットも考慮すべきです。特に、外を散歩させる犬を飼育している家庭の浮遊真菌濃度が高くなる傾向にあります。他のペットでは、抜け毛と餌の処理のこまめな清掃管理をしているかどうかが問題となります。ペットを家族と同じ感覚で飼育する気持ちが高すぎると、抜け毛や餌の食べこぼしが気にならなくなります。そうすると、必然的に細菌やカビの増殖を招き、さらにふけや垢を好むチリダニ類(コナヒョウヒダニ、ヤケヒョウヒダニ)を増殖することに繋がります。カビ、ダニ、ハウスダストがアレルゲンの2大要因と言われていますが、ハウスダストの中には、人毛、ペット毛、微小昆虫類の破片や排泄物が沢山含まれています。ペットを飼育する家庭では、日頃の清掃管理をしっかり行い、良く晴れた日には必ず窓を開けて、十分換気を行うことが重要です。

ペットと一緒に布団に入って寝ると健康に..........
ペットと一緒に布団に入って寝ると健康に悪いですか?
ペットを飼育している方の中には、一緒に布団で寝ているという方もいます。しかし、ペットは動物アレルギーの原因となるので、ペットと一緒に布団で寝ることは、お勧めできません。動物アレルギーでもっとも人に起こりやすいアレルギーは飼っているペットが原因で人体にアレルギー発症が起きるペットアレルギーです。有名なペットアレルギーは猫、犬、鳥、うさぎ、ハムスターによるものですが、他にも飼う動物の多様化によりフェレット、プレーリードッグなどさまざまな種類のペットアレルギーの発症例があります。そのアレルゲンはほとんどペット自身が体から出すフケ、体毛(羽)、フン、唾液、血液成分などです。それらアレルゲンが人の体内に入ることで、アレルギー反応を起こします。アレルギーの症状はくしゃみ、鼻水、じんましん、顔が腫れる、目・皮膚が痒くなる、発熱、気管支喘息やアレルギー性鼻炎、ひどい場合には呼吸困難などを伴うアナフィラキシーショックまで引き起こし、死亡する例まであります。またペットに寄生しているダニなどがアレルゲンとしてアレルギー症状を誘発していることもあります。

散歩から帰った際など、室内犬の体についた..........
散歩から帰った際など、室内犬の体についた汚れや菌は、室内の衛生状態に影響しますか?影響しないためには何に気をつけたら良いですか?
毎日の散歩の際に犬の脚裏(肉球や爪の間など)に必然的に土壌が付着します。脚裏に付着した土壌と共に、室内へカビ胞子や細菌が持ち込まれことになります。この結果として、部屋の隅に少しずつ犬の脚裏から乾燥した土壌が落ちて貯留することが想定されます。犬の散歩から帰ったら、犬を浴室に連れて行き、犬用洗浄剤を使用して、脚裏に付着している土壌を良く洗浄する(洗い流す)ことが大切です。また、排気口からアレルゲンの出ない電機掃除機を使って、部屋の掃除をこまめに行ってください。
 猫や小鳥などの他のペットを飼育している場合にも、抜け毛をこまめに清掃することが汚染微生物を増やさないために必要な日常管理です。

友達の家に行くと、それぞれいろんな..........
友達の家に行くと、それぞれいろんなにおいがするけど、そのにおいは何で決まるんですか?においを変えたいときはどうすれば良いですか?
室内のにおいは、新築やリフォーム時には内装の仕上げ方が、居住後には居住者の持ち物および住み方が大きく影響します。新築、リフォーム時のにおいの原因としては、木材そのものから出る天然成分のにおい、建材加工や工事に使用される接着剤や塗料などに含まれるホルムアルデヒドや揮発性有機化合物(VOCs)などのにおいがあげられます。一方、居住後のにおいの原因としては、体臭、煙草臭、建材臭、排ガス臭(冷暖房)、カビ臭、ペット臭(糞尿臭、体臭)、トイレでの排泄物臭や芳香臭、台所での材料臭、調理臭、生ゴミ腐敗臭、浴室での下水臭、老廃物臭、カビ臭、玄関での履物臭などがあげられます。室内のにおいを変えるには、まずはこまめな換気を心がけ、それでも気になる場合は、芳香剤や消臭剤を使用することも一つの方法ではあります。ただし、強いにおいや嫌なにおいの場合は、除臭、脱臭を行うほうが良いと思います。これらの方法は専門の業者に相談、依頼するのが良いでしょう。なお、新築住宅などの場合は、化学物質の影響が強いと思われますので、換気などを十分に行い、室内の化学物質を少なくすることが大切です。

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